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ノーベル賞を取るような発明から主婦のちょっとした工夫まで、ありとあらゆるアイデアがビジネスの対象となる時代において、その発明やアイデアを守ることがこれらを促進させる上でも重要になってきます。
弁理士は、特許、実用新案、意匠、商標、国際出願若しくは国際登録出願に関する特許庁における手続、またはそれらの査定に対する異議申立てに対する代理を主に独占業務としています。数ある資格の中でも知的所有権について扱える国家資格は他に無く、有権者の少ない特権的資格です。
急増する弁理士の数
弁理士や知的財産に興味のある方ならもうご存知かと思いますが、近年弁理士試験の合格者数が急増しています。
日本の特許出願数は毎年約40?50万件で、アメリカの35万件を押さえて世界第一位です。
さらに特許権、実用新案権、意匠権、商標権をあわせた工業所有権は年間約65万件にものぼります。
それに対し日本弁理士会に登録している弁理士の数は約6500人と圧倒的に足りません。
そこでこの特許出願数に対処すべく、ここ10年間に弁理士の数を約10000人にすることを目標に、国は弁理士試験の合格者数を増やしています。
弁理士と特許技術者の違い
話は変わりますが、弁理士業務の収入の約9割が特許権の出願代理業務と言われています。
そしてその出願代理業務とは主に特許出願のための明細書作成を指します。つまり
「弁理士≒明細書を書く人」
なのです。そして特許技術者も主な仕事内容は明細書作成です。
では、弁理士と特許技術者は資格の有無の違いだけで、実質の仕事内容は
「弁理士≒特許技術者」
なのでしょうか?
一般に、弁理士は特許技術者の指導役という位置づけが多いため立場は違いますが、
仕事内容という点から言えばこの問いには「ほぼYES」と答えてしまってもかまわないかもしれません。
特許を出願するのは発明をした本人か、もしくは弁理士と決まっているので、
特許技術者がいくら明細書を書いても最終的な名義は弁理士になるという点は大きく違いますが、
本質的な違いでは無いでしょう。つまり、特許技術者の数は弁理士の数よりも圧倒的に多いことを考えれば、
年間約40?50万件という特許出願を実質的に処理しているのは特許技術者と言っても過言ではありません。
では、弁理士の数が6500人から10000人に増加したからといって特許出願に対する処理能力が大幅に上がる訳でははないのに何故、
今、弁理士を増やすのでしょうか?
今、弁理士を増やすわけ。
つまり、国が今、そして将来の弁理士に求めていることは明細書を書く能力だけではないということです。
もちろん明細書が書ける位の技術に対する知識と特許に対する知識は必要ではありますが、十分条件ではありません。
では弁理士に何が求められてきているのでしょうか?
知的財産をマネージメントする力
日本は特許というものを長らく自分たちの市場を守るための手段としてのみ使用してきました。
一方、アメリカは特許を攻めの道具として使ってきました。この点が日本とアメリカで大きく違い、
アメリカは特許出願数では日本より少ないですが、特許権の流通額は日本に比べてはるかに大きいです。
特許はそれ自体ではただの概念にすぎず、運用されて初めてその価値が発揮される、
という大前提を忘れなかったアメリカの戦略には見習うべきも多いでしょう。
これからの弁理士に求められるのは、この知的財産をマネージメントする能力です。
知的財産をマネージメントするとは?
色々考えられますが、具体例を挙げていきましょう。
10年以上経った特許権を維持するのにかかる費用は毎年 81200円+6400×(請求項数)円 と非常に高額です。
そのため特許権を維持するためのコストは企業にとって深刻な問題となっています。
不必要な特許を切り捨て、コスト削減をしたり、ライセンス契約を結び他の企業に売り渡すことも特許マネージメントの一つです。
そのほか、大学に埋もれた知的財産を企業活動として運用したり、自社とライバル社の特許権を調べ上げ、
積極的に訴訟を仕掛けていき損害賠償を狙うといった少々強引な方法も考えられます。
もちろん特許を守りの道具として使うこともマネージメントの一つです。
ですが、最も重要な特許マネージメントとは、優れた明細書を書くことです。
ここでいう『優れた』とは、単に特許権を取得することだけに終始した明細書ではなく、
常にその特許権がどのように運用されるのかをイメージして書かれた明細書を指します。
いい特許事務所は、常にその特許をマネージメントすることを意識しながら書いてくれています。
ですから、いい特許事務所はいいマネージメントもするのです。特許マネージメントを目指すものにとって、
最初の一歩は優れた明細書に触れることから始まります。
弁理士と特許技術者の最大の違い
現段階における弁理士と特許技術者の最大の違いは、
法律相談,鑑定・契約業務,特定侵害訴訟における訴訟代理業務といった知的財産をめぐる紛争処理業務を行える点にあります。
今後はこの訴訟代理業務をはじめとする知的財産コンサルティングが急増することが予想されるため、明細書は特許技術者、
弁理士はコンサルティング業務といったように住み分けができるようになるかもしれません。
アメリカでは、パテントエージェントという対特許庁手続きを行うことができる資格を持つものが特許手続きを代理し、
パテントアトーニーといわれる特許弁理士が訴訟代理業務を行うといったように住み分けがなされています。
文系弁理士
合格者の8割が理系出身者である弁理士ですが、文系出身の弁理士にも注目が集まっています。
弁理士の基本は特許の明細書作成であり、その点だけを見れば文系弁理士は理系弁理士に比べ不利と言わざるを得ませんが、
ただ特許の明細書を書くだけが弁理士ではありません。
文系弁理士が進む道としては、例えば、意匠、商標事務所として意匠、商標に特化して経営していく方法が考ええられます。
意匠、商標の類似判断は非常に難しく、意匠・商標に強い弁理士は大きなニーズがあります。
その他、工業所有権法以外の民法や商法の知識を生かし、従業員と会社の間を取り持ち、
双方が納得できるような知的財産に関する企業内部規定を作り上げることを生業としたコンサルティング業務専門の弁理士や、
訴訟問題に特化した弁理士も考えられます。いずれにせよ弁理士という職種は非常に専門性が高いため、
どの分野に特化するかが重要になってきます。自分の色がだせる分野が必ずあるはずなので、それを見つけ出すことが重要でしょう。
弁理士試験について
弁理士試験は司法試験と並んで超難関国家資格の一つです。
近年、合格率が約7%まで上昇してきましたが、いまだ非常に狭き門といえます。ただ約10年前は、3%台の合格率でしたので、
合格率による単純比較ができない部分はあるものの、従来に比べ合格しやすくなったのは間違いありません。
- 一次試験(短答式試験)
-
特許法・実用新案法・意匠法・商標法・条約・著作権法・不正競争防止法からなる短答試験(マークシート方式)
- 二次試験(論文式試験)
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特許法+実用新案法・意匠法・商標法からなる論文試験+選択科目一科目。
ただし、選択科目一科目は受験科目に該当する修士、博士の学位を有するものは試験が免除となるように免除規定が多いので、
受験前にはチェックが必要です。 - 三次試験(口述試験)
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特許法+実用新案法・意匠法・商標法からなる口述試験
となっています。試験合格後は、日本弁理士会に登録して初めて弁理士を名乗ることが許されます。
その他、
- 弁護士の資格を持つもの
- 特許庁において、通算7年以上審判官または審査官として、審判または審査の事務に従事した者
も無試験で弁理士登録が可能です。
弁理士資格取得後は
1.独立開業
2.特許事務所勤務
3.企業の知財部、法務部で勤務
が考えられますが、技術と研究者の気持ちをした弁理士が真の弁理士であることを考えれば、明細書を書く技術を学ぶ前に一度研究者として働くことも視野に入れるべきでしょう。
さらには、マネージメント能力といった経営に関する知識、
工業所有権法以外の法律知識も今後の弁理士に求められる能力となっています。
スキルアップの為にまずは基本の出願業務のスキルアップを目指す方法として、知的財産検定を受ける方法があります。
特に知的財産検定一級は、実務経験者対象の試験で、弁理士試験よりも合格率が低いという超難関資格となっています。
弁理士試験は主に法律知識を問う試験なので、より実務的な知識を証明する資格として知的財産検定一級は是非とも取っておきたい資格です。
経営に関する資格としてはMOT(技術経営)やMBA(経営学修士)の取得といった方法があります。
法務に関しては、法学検定やビジネス実務法務検定といったものを使ってステップアップしていく方法があります。
自分の目標とする弁理士に合わせてスキルアップを目指してください。
















